”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


「私もだ」


そう言って、綺樹は出て行った。

あっけない幕切れだ。

自分が守ろうとしていた“夫婦関係”は、こんなに簡単に終わるものだった。

涼は硬直したまま動けなかった。

追って、腕をつかみ、引きずり戻したかった。

でもそれをしても、状況は変わらない。

なぜなら、結局は、出会った時から、何一つ変わらなかったのだから。