綺樹は片腕を涼の首に回した。 いたずらめいた光の瞳で見上げる。 最初のキスの時と同じ。 それは一瞬。 だけど味わう。 身を離すと、左手の指輪を抜いてローテーブルに置いた。 ドアへ向かって歩いていく。 「綺樹」 柔らかく笑みを含んだ呼びかける声に、顔を少し向けた。 涼はソファーに座ったまま、こちらを見ていた。