”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


「こんな時に説教か?」


少し目が細まり、ねめつける。


「こんな時?
 何がおかしい?
 久々に顔を合わせたんだ。
 今、言っておかなければ、いつ言えるかわからないだろう?」

「違うことを話し合うべきじゃないか?」


綺樹は首を傾げた。


「何を?
 何か話し合うべき問題があったか?」


涼は唖然として綺樹の顔を見つめた。

この無理矢理の行為も、理由も、問題にならないのか。

愛人絡みじゃなかったとわかったらそれで終わりか。

体を重ねたのは何年ぶりだと知っているのか。

この関係が問題と思って、変えたいと思っているのは自分だけか。