”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

 
  *

「ひどすぎる」


綺樹のため息交じりの呟きにフェリックスは返答しなかった。


「中世どまりだ。
 一体、お前たちは近代社会の時代、何をしてたの?」


皮肉ると、じろりと睨まれた。


「私は関係ない」

「うわっ。
 言ったね」


むっとした顔になっている。

フェリックスも綺樹が当主となって、初めて当主補佐としてここに来たのだから、言い分はもっともだ。

しかもウルゴイティの血は一滴も流れていない。

たまたまフェリックスの父親の妹が、ウルゴイティの血縁と婚姻関係になっただ
けだ。