「したくもない仕事をしながら、大学の勉強に追われ、妻との関係は泥沼で、腐りに腐っていますね。 自暴自棄の極みです」 「そうか」 綺樹はおかしそうに笑った。 立てた膝に腕を載せて、いたずらっぽく成介を横目で見る。 「思うんだが、自分の想いが成就する云々よりも、もっと大事なことが無いだろうか。 相手が“らしく”生きていて、幸せかどうか」 やっと今までの話が繋がった。 「あなたは何を企んでいるんですか?」