”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


「つまり。
 ぶつかって、玉砕した場合、あの男も同様になるということですか?」


成介の口調は相変わらず何でもない様子だったが、目は用心深くなっていた。


「私が。
 ビジネスと同じやり方をした場合。
 ぶつかって玉砕などの方法は採らない」

「そうでしょうね」


しばしためらった。


「あの男に対して、一歩も踏み出さないのは、殺すことになるかも知れないからですか?」


綺樹も微笑しながらも、成介をひたりとみつめた。


「涼だけは殺さない」


にやりと笑った。