”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


「そうだな。
 年を取り過ぎてしまったというのか」

「あなた、私より年下でしょう」


くすくすと笑った。


「そうだね。
 でも、おまえは人を殺したことが無いだろう?」

「全然、意味が繋がりませんね。
 それに日本における、大体の人は経験が無いと思いますよ」

「そう?」

「あなたは殺したことがあるんですね?」

「うん」


綺樹はさらりと答えて、ワイングラスを手に取った。