「あの男の携帯を今度見てみるといいですよ。
メアドぐらい残っているんじゃないですか?
どこかのレストランで誕生日を祝った二人の写真も残っているかもしれませんね。
そこから調査したらどうです?」
「そんな趣味ない」
レストランで誕生日の食事。
綺樹はまた気分が滅入るのを感じた。
自分と涼では、したこともない。
「あなたね。
相手を知らなきゃ、どう対処もできないでしょう。
ビジネスの基本じゃないんですか?
成功させるために、姑息だと思われる手だって使ってきたでしょう。
ダバリードで参謀を務めていた人とは思えませんね」
綺樹はむうっと膨れた顔になった。

