”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


「罪悪感?」


綺樹が考え込むように、黙ってしまったのに成介は続けた。


「プロポーズをしたのですが、断わられたらしいですよ。
 しかもかなり説教をされたみたいですね」


成介は愉快そうに笑った。


「ああ、そうなの」


綺樹は顔を庭へめぐらせた。


「涼が」


口をしばしつぐむ。


「政略結婚の理由がとって付けたようで、ずっと疑問だったんだ。
 なるほどね。
 立場的に、いずれは結婚しなくてはならないもんな。
 ならば、私は面倒が無くていいだろう。
 もしかしたら、ああいう提案をすると見通していたのかもな」


ぼやくように独り言を呟く。