* やっぱり変な癖というのだろう。 最初の電話は唐突にかかってきた。 大学に来ていた涼は、教室に足早に向っている途中だった。 「綺樹?」 綺樹が携帯に電話をかけてくるという意外性に、疑問形になる。 「邪魔した? たいした用じゃないんだけど。 ちょっと旅行してくるから。 それを言おうと思って」 「旅行? なんの仕事?」 成介からは、定期的に西園寺夫人としての仕事スケジュールをもらっていた。 旅行を含むものがあっただろうか。 頭に浮かべるが、思い出せない。