”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


暗闇の中から葉擦れの音が聞こえてくる。

それは風がたてている音に過ぎない。

今夜はどういう女の所にいるのだろう。

少し大人っぽい女性だろうか。

それとも可憐で素直な年下だろうか。

どちらも私の性格とは程遠い。

自嘲が口元に浮かんだ。

ああ、やっぱり駄目だ。

割り切っているつもりでも、しんどいな。

綺樹は息を吐いて笑った。

ずっと水の中でおぼれている。