「とにかく、持ってけよ」
低く呟くと、書類に顔を戻した。
「と、いうことなので」
頼まれた物を差し出すと、綺樹は片手で受け取った。
包装紙を頓着無しに破り箱を開けた。
「ああ、おいしそうだね。
はい、土産」
そのまま成介に差し出した。
「もらえませんよ」
「次から次へと持ってこられても食べきれない。
この間のチョコレートだってまだ余っているんだ。
響子に上げてよ。
つわりがひどいんだろ?
そういうゼリーみたいなのは食べやすいんじゃないの?」
「まあ、そうですね。
じゃ、あなたの夫の迷惑料にもらっておきます」
あっさりと受け取って帰っていったのに、綺樹は微笑して窓に頬杖をつき、庭を眺める。

