”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

涼は無言のままだった。


「新婚早々から夫は家に帰らず、次から次へと愛人を増やしているなんて、彼女、気の毒ですよ。
 この間、行ってみたら」


成介は途中で口をつぐんだ。

涼が思ったとおりに反応して、顔を上げる。


「なんだよ」

「いえ、なんでもありません」


にやっと笑った。


「言えよ」


涼の眼差しが強くなった。


「ご自分で確かめてください」


なんだか楽しそうだ。

涼は反対にむっつりとする。