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自分の中の獰猛さを押さえるために、何人もの女と関係を持ち、誤魔化し続ける。
そして綺樹に贈り物を贈り続ける。
この間はチョコレート、その前は花束。
決して綺樹を蔑ろにしているのではない、という意思表示として。
「たまには自分で届けたらどうです?」
成介に品物の指定をして、いつものように頼むと、ため息交じりに返された。
「いい加減、顔を見せたらどうです?
あなたがこんなに愛人を作る理由がわかりませんよ。
そんなに嫌だったら、どうしてこの結婚を断わらなかったんですか」
涼が嫌だと思っていないことは、明白だ。
だが他の理由がわからない。

