”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


   *

自分の中の獰猛さを押さえるために、何人もの女と関係を持ち、誤魔化し続ける。

そして綺樹に贈り物を贈り続ける。

この間はチョコレート、その前は花束。

決して綺樹を蔑ろにしているのではない、という意思表示として。


「たまには自分で届けたらどうです?」


成介に品物の指定をして、いつものように頼むと、ため息交じりに返された。


「いい加減、顔を見せたらどうです?
 あなたがこんなに愛人を作る理由がわかりませんよ。
 そんなに嫌だったら、どうしてこの結婚を断わらなかったんですか」


涼が嫌だと思っていないことは、明白だ。

だが他の理由がわからない。