「そうそう、成介。 おめでとう。 今度、子どもが生まれるんだって?」 ドアに歩きかけていた足を止め、半分振り返る。 「ええ。 ありがとうございます」 「ベタ惚れの奥さんにもよろしく伝えて」 「もちろん伝えます。 ところで妻を溺愛するのは、西園寺の男に共通すると思いますよ」 綺樹の顔がひきしまり、探るような上目づかいで見上げている。 意味をとりかねているのだろう。 成介は微笑して部屋を出た。