ふと披露宴の時の綺樹とフェリックスの様子を思い出した。

視線の重なり方や、綺樹の仕草に引っかかった。

自分と綺樹の関係よりも“あうん”の呼吸が出来上がっているのに、ただの仕事関係ではないのを見抜き、あせったのだ。

どこかで綺樹と一番通じ合っているのは自分だと、根拠の無い自信があった。

荒れそうだった胸の内を、でも綺樹は自分の妻だと、言い効かせて落ち着かせた。

それでも、二人が視線を交じらわせた時、つい綺樹の名前を呼んでこちらを向かせたり、二人が近づいて何かを言葉を交わそうというそぶりの時に、親族を紹介するといって綺樹の腕を掴み、遠ざけたりしてしまった。

ガキだよな。

自分の行動に苦笑した。