”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


大学の授業に出ると、悪友の瞬は早速、涼のリングに目をつけた。


「なに、ペアリング?
 おまえにそれをさせられる女ができたの?」


心底驚いているのに、涼は軽く笑った。


「マリッジ、だ。
 結婚した」


瞬の顔から表情が消えた。


「へえ。
 まあそうだな」


瞬も日本屈指の建設会社の三男坊だ。

涼の結婚の意味がわかったのだろう。

座席の背に寄りかかり、教壇の方を向く。