”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


「よかったな」


いつも通り、訳の分からない振り方だ。


「なにが?」

「スペイン語、わからないだろう?
 遠まわしに散々バカにされずにすんだな」


涼も言い返した。


「よかったな。
 日本語がわかって。
 その毒舌でやり返せるぞ」


綺樹はにやりと笑っていた。