”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


結婚についての事は、この件だけではなく、綺樹は出来るだけ簡素化を目指しているようだった。

披露宴もそうだった。

一切しないと言っていたが、涼の祖父や成介に説得されて、最終的に西園寺の屋敷にてそれぞれの一族を介した食事会を行うことで落ち着いた。

本来なら、ウルゴイティの家でも晩餐が催されるべきだったが、まだ綺樹が戻るのは危険らしい。

そしてウルゴイティの代表としては、フェリックスが来るだけだった。


「私は嫌われているから。
 だから汚れ役の当主としたんだし」


そういう意味では、似た者同士なのだろう。

涼だって、未だに突然現れた財産泥棒扱いだ。