”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

涼は綺樹の左手をつかむと、片っ端からはめはじめた。


「これかな」


綺樹の性格と、外見と、服装から選択する。


「うん、いいんじゃないか」


上から目線の返答に、涼は相手にするのを諦めた。

順序は逆だが丁度いい。


「これに合う婚約指輪は?」


満面の笑みになった店員に、綺樹は水を差した。


「いらない」

「ああ、そう」


綺樹の頑固さは良く知っている。

涼はあっさりと引いた。