”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

会いたい。

涼に会いたい。

知人として食事するだけの関係でもいいから。

再び綺樹が眠りに落ちていったのに、フェリックスは手首をとって脈を計る。

時々、日中に綺樹の姿が見えない時があった。

探すと大抵、人目のつかないベランダに出ている。

物思いに耽った横顔に、はるか先をみつめている眼差しはせつなげだった。

大体推測はついていた。

そして今、はっきりした。

このまま活かしておくか。

それとも早めに手を打つか。

フェリックスはまだ結論が出せないでいた。