「おまえの頭脳。
ダバリードとのつながり。
ダバリードで得た知識。
西園寺が世界で展開していくために必要だ」
綺樹を引き止められるなら何でも言う。
今、感情の言葉を言ったって、決して信じないだろう。
しばらく綺樹は見つめていた。
涼は逸らさなかった。
やがて綺樹ははかなく笑った。
「ばかだな。
そんなんでおまえは愛した女を諦めたの?
なぜ自分の力で切り開こうとしなかったの?
そんなことは、いくらでも他に手段があったのに。
こんな安易な方法をとって」
段々と言葉が弱くなり、最後は消えるように口をつぐんだ。

