フェリックスは廊下に出るとベンチに身を投げ出すように座り、背もたれに頭をつけた。
さやかは隣に腰掛けた。
「どうかしら?」
フェリックスは目頭を強くつまむ。
「わからない。
頭蓋骨の陥没骨折は破片が刺さっていたので後遺症が出る可能性がある。
腕の腱が切れていたから、不自由さが残るかもしれない。
大腿骨の骨折はリハビリが必要だ。
銃弾は貫通していたからそれはラッキーだったな。
とにかく傷の数が多くて大量出血だった。
途中で出血によるショックもあった。
後は綺樹次第だ」
「そう」
沈黙が漂う。
深い呼吸音にさやかはフェリックスの顔を見た。
この状態で眠ってしまったことに、どういう手術だったのか伺える。
さやかは寝息を聞きながら手術室のドアを見つめていた。
考える。
ダバリードと綺樹の将来を。
双方にいい方法を考え、計画を練らないと。

