”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


「そっちを先にやる」


フェリックスは脳から足に回った。

刺された傷が多すぎた。


「他に外科医はいないのか」


怒鳴ったが、誰からも返答はない。


「先生、これで輸血パックが最後です。
 それにもうほぼ全身の血が入れ替わっています」


綺樹はRH-だった。

病院はそう多くの在庫を抱えない。


「廊下にいる女に血液を至急用意するように言え」