”オモテの愛” そして ”ウラの愛”


「大丈夫か?」

「涼」


声になっていたか、わからないが綺樹はくちびるを動かした。


「涼、あれは」


どういう意味?

声が続かなかった。

涼には西園寺。

自分にはウルゴイティ。

遠い国で互いに背負うものがある以上、自分たちの関係がどういうものにもならないと思った。

スペインまで一緒に来てもらって、その時を延ばしても。

だから病院のロビーで別れを告げた。