「“彼女”ですよ。
暴漢に襲われて重体、としか出ていませんでした。
もしかしたらと思って検索したらYou Tubeに、その状況が流れていました。
通りすがりの旅行者がビデオを回したみたいで。
取り下げられるのも時間の問題だと思ったので、いちゃいちゃしているだろうと思いましたけど、電話をしたんです。
後で恨まれたくありませんからね」
涼はipadを取り上げて、検索をかける。
「電話ぐらい、切ってからにしてください」
遠くでぼやきが聞こえて発信音になる。
涼は構っていられなかった。
そういう危険は慣れていて、ボディーガードが絶えずついていたじゃないか。
重体と言ったって。

