言いかけて、言えなかった。 綺樹がある程度気に入り、心を許し、こちらが御しやすい夫を探してあてがえばいい。 そう思った。 だが、腕の中でやっと安らぎを得たように、無垢に眠る綺樹を思い出した途端に、言葉が喉元で止まった。 その感情に焦りを感じて、綺樹から視線を外す。 これは何らかの手を打たなければいけない。 望まない方向になる。 双方において。