”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

その後ずぶ濡れのまま練習が再開した。

講師は濡れたくないために微妙に距離が開いたままになる。

フェリックスの狙いはそれだったのだろう。

練習はほどなくして終わり、乾いた服に着替えたが、夜中から熱が出て朝は起き上がれなかった。

意識がもうろうとする中、物音を聞いた気がして目を開ける。

そこはあの東京のマンションの寝室だった。

涼がいた。

綺樹が目を開いたのに気が付いて、屈みこむ。