『刺客』 暴言と匕首で人を斬り いまこの岸辺で座っている 不意にかの暗殺者のことを思った 闇愚な王のために命を落とす己を 壮士と言えたあなたを 少しだけ羨望した それはいつだって無様で醜い 裏切ることに慣れはない 狂犬を飼い慣らす主は その管理に放し飼いを選ぶ 逆流する血を衝動に変えて それを誰が望むのかと訊く 答えはない 暗闇の一部である右手に そっとくちづけた その苦さが舌に残る