遮光カーテンの引かれた室内は、薄暗くて。
酒の匂いが、濃く残っていた。
さほどの広さはないものの、クイーンサイズのベッドが真ん中に。
細かい引出しのたくさん付いた家具の上に、煙草と灰皿、それと昨日付けていた指輪とピアスが無造作に置かれていた。
「凱司さーん…入りますよ?」
起こすつもりのはずなのに、独り言のように小さく言って、雅はそっとベッドに近付いた。
シーツって掛けるものだっけ?などと思いながら、布地に埋もれた金髪に、手を伸ばす。
「凱司さん、起きて下さい」
そっとシーツの上から叩くけれど、動かない。
規則正しく、緩やかに上下しているのを確認して、雅は少しだけシーツをめくりあげた。
眠っているのに少し眉間にシワが寄っている。
投げ出された凱司の手の。
ゆるく丸まった指先。
自分と、どのくらいの違いがあるのか気になって。
そっと、指先に触れた。
変わらずに寝息を立てる凱司に、少し安心したのか、雅はそのまま。
押し開くように、手を、重ねた。

