たぶん恋、きっと愛




「…凱司…この子、お前の言いたいだろう、だいぶ俺様至上主義で強引な理屈の真意を、真っ直ぐには汲んでないと思う」


「腹立つな、色々と」


くく、と笑った凱司の大きな手が。
雅の髪をくしゃりと撫でて。



「なあ、猫拾ったら、捨てらんねぇよな?情が移るよな?」

「猫…?」


「それもずぶ濡れの子猫をだ。お前、守ろうとするだろ?」

「…こ…子猫が…ずぶ濡れ?」

やだ、可哀想…。


「……守るだろ!?」

「…凱司さんて優し…」



「…何こいつ。鷹野代われ」

雅の頭から手を離し、凱司は大きく息を吐き出した。


「え、俺!?」

…ええっと…雅ちゃんは…黒猫だと思うなあ。真っ黒じゃなくて、ちょっと白の混じった…みたいな。
目の色は緑でさぁ…


「じゃあ鷹野さんは真っ黒でツヤツヤの綺麗な子ですよね。凱司さんは…………」




……………猫科の猛獣?


じっと凱司を見つめた鷹野と雅は。
うん、ライオンぽい、と顔を見合わせて。

ふふ、と。
含み笑う。



「……何なんだお前ら…」



雅の言う、2年前の、事。
中学生を犯すなど、変質者だろうか?
それとも、知り合い?

誰であろうと、一生消えない歪んだ傷を負わせたのは確かだ。

それを全て消してやれるとは思わないけれど。
少しでも恐怖心が薄らぐといいとは、思う。



もう、拾ってしまった。

もうとっくに、情など移ってしまっているのだから。