雅、は。
魅入られたように、その目を見つめていた。
「…息吹、さん?」
鷹野よりも、少しがっしりしているかも知れない。
明らかに自分を付け狙っていただろう台詞を、聞いたのか聞かなかったのか、雅はぼんやりと、問う。
に、と笑った男は、片眉を上げて、頷いた。
鷹野に聞かされた、息吹の危険性が、どうしたわけか、ひどく薄れていて、怖くはない。
むしろ、まっすぐに見つめてくる顔が、その鷹野に似ていて。
愉しそうに、嬉しそうに煌めいている目の真ん中に。
自分の映っていることが、嬉しい気すらして。
ひどく混乱した。
雅は、仕掛けの壊れた絡繰り人形のように。
残忍な笑みを浮かべる、その男、息吹の手を、取った。

