吐く息が、白い。
コンクリートを打ち付けただけのガレージは暗く、吹き抜ける風は冷たい。
「あの…不躾で申し訳ないのですが…」
宇田川が、緊張した面持ちで、切り出した。
「もしかして雅さんと…寝…ましたか?その…男女として」
「………ああ」
くらり、と。
宇田川は揺れた視界を立て直そうと、頭を振った。
「……それ、一樹さんは…」
「知ったら、こうなった」
宇田川はまじまじと、凱司の灰青の目を見つめた。
本来なら。
鷹野一樹に介入の余地など、ないはずだ。
凱司のものは、凱司のもの。
「難しいもんだな」
あいつが欲しがってるの知ってて、やった。
唯一、本気で欲しがっていたのに、敢えて。
それもあいつの為だと言うんだから、ややこしい、と。
「…彼らを…2人にしてはいけません!」
早く見つけないと!
どうして、言って下さらなかったんですか!
友典だっていたのに!
“彼”が静かだったのは、どこかに期待があったからです!!
諦めていながらも、どこかに希望を見ていたからです!

