「迎えに?」
宇田川章介は、鷹野と雅は一緒に帰宅するものだと、思っていた。
だから。
その前に凱司と会おうとしていたのだけれども。
思いのほか遅くなり、暗いガレージに車を乗り入れた所で、ちょうど出て来た凱司と鉢合わせた。
「一樹さんがご一緒なのではないのですか?」
「…いや……」
凱司にしては、歯切れが悪い。
いつもと変わらず堂々とした体躯ではあるが、滲み出る不安のような苛立ちが、目に陰を落としている。
「両方、連絡がつかねぇんだ」
ようやく苦笑を浮かべた凱司は、ちっと、マズい気がしてな、と、小さくため息を吐いた。
いつもの帰宅時刻は、とうに過ぎている。
「友典は…今日は一緒じゃねぇよな?」
「…ええ…、今日から一樹さんが復帰されるからと…言っておりましたが……」
…多分、一緒じゃねぇんだ、あいつら。
と呟くように言った凱司に。
宇田川にもじわじわと、不安感が込み上げた。

