誰もいない。
元々は、こうだった。
眠る場所も確保できずに、公園のベンチでうとうとする日も、何度かあったくらいだ。
こんなに、寂しいものだったかな。
凱司さんに抱かれて。
満たされた反面、何もかも失う気がして、怖かった。
雅は、ふらふらと。
駅にまで行かない、途中にある公園に立ち寄り、眠る水鳥を眺めていた。
鷹野と何度か、こんなふうに眺めたのが、すごく昔に思える。
早く帰って食事を作らないと。
それをしないと、あそこにはいられないのだから。
「やっとひとりになった」
不意に背後から声を掛けられて、雅はびくりと、肩を震わせた。
「待ってたん…だぜ?」
振り向いて見た、その目は。
最近の鷹野に。
そっくり、だった。

