「大丈夫です。学校で食べてますから」
それでも雅は、凱司の腕に、頬を寄せる。
僅かだが、その時だけは、疲れたような長い吐息をもらした。
このまま年末年始に、雅を実家に帰して良いものだろうか。
鷹野をひとりにしても、大丈夫だろうか。
もしかしたら、雅を他所に移した方がいいのかも知れない。
「なに食ったんだ」
「………コーヒー牛乳」
鷹野を余所にやるわけには行かない。
月々の給料の大半を返済に充てる契約で、ここに“軟禁している”のだから。
「…駄目だ。来い、外出るぞ」
どうにかしてやらないと。
笑えなくなった雅を、どこに移せば、また笑えるようになるだろうか。
手放したくはない。
だがこのままでは、鷹野も、雅も、おかしくなる。

