「雅、今日、業者入るからな」

「煙突ですか?」

「ああ」



寒さが増してきた笠島家のリビングでは、点火を待つ薪ストーブが真新しく鎮座している。

エアコンの暖房で、部屋の観葉植物が乾いて枯れる、と雅が嘆き、石油ストーブが欲しいとねだったのだ。


なまじ部屋の作りを広く取っているせいで、小さなものでは到底暖まらない。


例年、各部屋にこもりがちな凱司と鷹野だったが、雅が来てからというものの、リビングに居ることが多い。

どうせ集まっているならば、部屋は暖かい方がいい。



エアコンは植物が傷む。
石油ストーブひとつでは部屋は暖まらない。


工事費も手間もかかるが、それならばと凱司の選んだ物は、真鍮と鋳物でできた、細工の綺麗な、薪ストーブだった。