鷹野は、凱司の背後でわざとらしく慇懃に微笑む宇田川に、肩をすくめて見せた。
「……酷いことするよね」
「友典の事でしたら、本当に申し訳ない事をしたと思っております」
コーヒー淹れます!、と喜びを隠せないまま、キッチンに立った雅を申し訳なさそうに見やり、宇田川の目は、再び鷹野に戻された。
「その話じゃねぇし」
珍しく拗ねたような鷹野の口調に、宇田川も珍しく、勝ち誇ったような笑みを浮かべて。
そうですか、と視線を逸らせた。
「とにもかくにも、馬鹿息子がご迷惑をお掛けいたしました」
今日から停学処分で、一週間は登校致しませんので、雅さんは安心して登校なさってください。
そう宇田川が言えば、ヤカンを火にかけた雅が、顔を上げた。

