目を離した隙に起きた、事故。
そう、思いたい。
甘やかさを増した鷹野と。
その甘いじゃれつきに、やや抵抗するようになっている雅とを、複雑な思いで凱司が目の当たりにしたのは。
早くも翌日の昼の事だった。
「鷹野…仕事は」
「休み」
「…雅、学校は」
「……」
ピキ、と額に青筋を立てたかのように黙り込んだ凱司は、背後に宇田川を従えたままだ。
連絡なく帰宅した自分に、嬉しそうに笑った雅が、一瞬にして眉を下げ、逃げ腰になったその首根を掴まえた。
「サボリか」
「…お…おかえりなさい…?」
「…………サボリかって訊いてんだ!」
「…………ご…ごめんなさい」
それでも、嬉しそうな色を隠せない雅に、凱司の苦々しく眇められた目も、ため息と共に和らいだ。

