「……シャボン玉、するつもりで…ストロー持ってきたんだよね?」


「………」


「…俺、ジーンズ重たくて歩けそうもないや。雅ちゃん取ってくる?」


「………」


ふるふると、横に首を振る雅の首筋に、朱が差した。

濁った白い湯は、肩から下を全て見えなくしている。


肩に紐があるのだけが、浴槽の中では不自然で、鷹野はつと、指先で、その紐を肩からずらした。


「あ…俯いたら溺れるって」


髪が、水面に浮かぶ。
鷹野の髪も、浮かぶ。

朱は、耳までものぼり、首筋のプラチナが、キラキラと。


雅の髪を結ぶゴムを、器用に外せば、髪は鷹野の胸にまで、広がった。



「こっち、向かせていい?」

見えないから、と肩に指を置く。


相変わらず首を横に振る雅に苦笑しながら、鷹野はその体を引き寄せた。