雅は。
鷹野を見ない。
鷹野は。
俯きもせず視線だけを逸らし、押し殺したような表情のまま、Tシャツをするりとあっさり脱ぎ捨てた雅を、黙って見つめていた。
可哀想に。
不意に、そんな思いが浮かんだけれど、続けてハーフパンツに手をかけた雅を、ただ黙って、見ていた。
唇を噛んでいるのは、無意識ではないだろう。
真っ白に血の気の引いた雅の顔は、決して、甘やかなものではなかった。
白い、コットンレースのついた下着姿になった時、ようやく雅の動きが止まった。
胸のフロントホックにかけた指先が、すくんだように震え始めた。
「………外さなくていいよ」
そっと上から指を押さえてやれば、そのまま胸元をきつく握りしめ、雅は小さく、息を止めた。
鷹野は、自分のシャツを脱ぎ、雅のTシャツの上に放り投げると。
息を詰まらせている雅の体を、黙って抱き上げた。

