「由紀さん、友典を連れて、ひとまずはお引き取りください」
彼女は明日から、凱司が戻るまでは登校しないと言いました。
彼女をどうするか、友典をどうするかは、俺の預からない事ですから。
個人的に、今。
出て来ようとしない彼女を。
無理にドアの外へは出せないし、友典を中へ入れることも、出来ません。
だから、帰れ、と。
言外に、そう滲ませる。
雅の通学バッグをその場で開け、2つの鍵を確認すると、鷹野は微かに頷いた。
「確かに」
「待っ……て…くれ!」
そのまま終わってしまいそうな流れに、友典はようやく、動いた。
鷹野を押し退けるように、ドアに張り付き、その奥で立ち尽くす雅に、必死で声をかける。
申し訳なかった、無事で良かった、自分の思うように、して欲しい。
それに対して、自分は口出しはしないから、と。
だから。

