その凱司が、望むなら。
ためらいはするものの、黙って全部、脱ぐんだろう?
それから、脚も開くんだろ?
そう、言えなかった。
鷹野には、それが羨ましい事だとは、思えない。
思えはしないが、それでもいいと、思う時は、ある。
「じゃあ、さ」
そっと、雅の頬を両の手のひらで包み、いつものような笑顔を浮かべた。
「脱がなくて、いいから」
俺も脱がないし、雅ちゃんも脱がない。
水遊び、しよ?
時間は、ある。はずだ。
凱司のしないことを、しよう。
ただ大きく優しく守り、耐えるだけなら、凱司がやっている。
俺は。
「でも、少しだけしていい?」
さっきみたいには、ちょっとだけしか、しないから。
「ちょっとだけはしちゃうんですか…!?」
「うん、ちょっとだけ」
だって、気持ち良かったんだもん。
もう一回だけ、飲み込んで?
できれば、奥まで。
淫靡にも聞こえた鷹野の言い回しと、からかうような笑みを浮かべる唇は。
雅が意味を理解するよりも早く、柔らかく、塞ぐように、雅の言葉を、封じた。
耐えても、意味がないように、思えるんだ。
そうするしか無い、のだけれども。

