「…やっ…」
こぼれた涙は、シンクに落ちた。
三度、嚥下したにも関わらず、指を抜けば、俯いた唇からは唾液が糸を引く。
堪らない。
鷹野は、思う。
強引に口内を犯され、素直に息を上げた。
逃げるでもなく体を震わせ、指を飲み込んだのが、ひどく淫らに思える。
「雅ちゃん、こっち向いて」
「や…だ」
ふるふると首を振り、シンクのふちに手をついた雅の耳は真っ赤で。
後ろから再び唇をさぐる鷹野の指から、顔を背ける。
「…待っ……」
少々強引に体を反転させられた雅は、そのままの勢いで、きつく、抱き締められた。
「…雅ちゃん、俺ね、凱に言っちゃったんだ」
凱司の居ないときに、ヤったりしないって。
「今、すっごい…後悔してる」
こんなに、好きなのに。
こんなに、刻みつけたいのに。
こんなに、感じてくれてるのに。
鷹野の胸に押し付けられた雅は、ぴくりと一度肩を震わすと、縮こまるように小さく俯き、首筋までを朱に、染めた。

