「…で、も…………」
一気に、声が震えた。
雅は紅茶葉の缶を、無意識に両手で押さえつけ、爪が白くなるほどに指先に力を込めている。
「あたし…あとで、いい…」
「…なんで?」
吐息と共に、囁く。
きゅ、と肩を上げて小さく抵抗した雅の、一旦引いた血の気は、鷹野の声に頬も耳も染め上げた。
「………紅茶、淹れて?」
「あっ、はい…」
握りしめていた缶から、弾かれたように手を離し、密閉された蓋を外そうと、指をかける。
爪をかければ開く筈の蓋は、いつもよりも固いのか、二度、開かないまま雅の爪を弾いた。
「貸して」
ゆるく抱いていた腕を解いて、雅の手ごと缶を押さえた鷹野は、いともあっさりと蓋を外し、中に入ったままの小さな木のスプーンを、つまみ上げた。

