「……いつ、かなあ」
「さあねぇ。意外と…明日とかかもよ?」
学校サボってるのバレたら、叱られそうだよね。
と、半ば急かすように階段を登り、重い、玄関のロックを解除した。
これを閉めれば、雅は、居ないはずの凱司に、浚われる。
居ないことで、大きく膨らむ喪失感に、元気を無くす。
ゆっくり、笑いながら話をしたい。
出来るだろうか。
俺に。
凱司を、一瞬でも切り離すことが。
「雅ちゃん、お腹すいた?」
「あんまり…すかない、かも」
凱司の声を聴かせてやってもいい。
いつもみたいに叱られるように、電話をさせてやってもいい。
「じゃあ先に、浴槽にお湯張ろうか」
だけどその前に。
凱司の声を聴く前に。
「一緒に、はいろ?」
月曜日は、昌也も佑二も泊めた。
火曜日に戻らなければ、一緒に風呂。
水曜日も戻らなければ、一緒に寝る。
宣言、通りに。

