たぶん恋、きっと愛



「…それは、個人的な事で?」


息吹の注いだグラスを友典に手渡して。

坂崎と呼ばれた男は、髭の剃り跡の青い顎を撫で、眉間にシワを寄せた。



「ごめんなさいね、私は知らないけれど、もし知っていても、教えちゃうのは…ねぇ」


背景も解らず、他人の情報など迂闊に漏らせない、と坂崎は言う。



「俺は…知ってるぜ?お前の代わり…に、女連れて来んなら…教えてやる」

とりあえずは、…あの子じゃなくていい…からさ。


そう笑う息吹の目は、いずれは雅を寄越せと言っているようで、友典は、ますます理由を言えなくなる。


鷹野一樹に今にも堕ちてしまいそうな彼女に、一刻も早く会い、自分の思い上がりを押し付けた事を謝る。

言った事に大きな間違いがあるとは思えないけれど、それを口に出したのは間違いであった。


そんな事、も。

彼女は、鷹野一樹が誑かし、くるみ込もうとしている女の子だ…なんて事、も。


はっきりと雅に危険な興味を示す息吹に、聞かせるわけには、いかなかった。