こんな生き物までいるような所に、どうして父は平然と通えていたのか。
怒りも恐怖も、すっかり消えてはいたが、友典は来た目的すら忘れそうになっていた。
「息吹ちゃん?まさか襲ったんじゃないでしょうね?」
やや低く言う声も、不自然に高い。
「んだよ…、便秘のくせに…ずいぶん…早かったじゃねぇか…?」
「んなっ!下剤飲んだんだからつるっと出なきゃ困るわよ!!」
「あー…、わかったわかった。良かった…な、うんこ出て」
それよりコレ、早く…はずしてくれよ、と、髪を避けて首筋を露わにするのを見れば。
息吹の首に掛かる、シルバーの太いチェーンから、長くワイヤーのように金属が伸びていた。
友典がそのワイヤーを目で追えば、それは目の前の、見た目はこれ以上ないくらい男な、その手首にと、繋がっている。

