たぶん恋、きっと愛



どうして、こんな所に来てしまったのか。

どうして、こんな奴に何かを訊こうとしたのか。



友典は、自分でも無様だとわかりつつも、とにかく逃げたかった。

殴る、だとか蹴る、だとか。
そんな事をする隙が、ない。


掴まれた肩は、そのまま関節を外さんばかりに指が食い込み、壁に叩きつけられた。

じりじりと痛む唇は、思い切り噛み切られたのか、脈打つように血をこぼす。

絞め殺す気なのか、という程に、片手で顎を上げられた。




「息吹ちゃん!!!」


店の奥から突如聞こえた、悲鳴のような声に、息吹が一瞬、怯んだように身構えた。


痛みと、得体の知れない恐怖とに、友典は必死に抗おうとしていたが、その一瞬にようやく、息吹の肩を突き飛ばす。


酷く残念そうに舌なめずりをした息吹の腹を、思い切り蹴り飛ばした。


派手に椅子を巻き込んで、まさに“すっ飛んだ”息吹が、咳込みながら笑い、両手を、上げた。