ここにいなさいと、言われた。
自らが尊敬する、父に。
宇田川章介に。
従った方がいいに決まってる。
そう思いつつも、友典は、その場を離れた。
自分の理想と理念という型に嵌めようとしたせいで、泣かせてしまった少女を捜しに。
自分は、彼女を把握しなければならない。
父が凱司に付いているように。
彼女を守らなければならない。
失った信用は、同じ形には戻らない事を、頭でしか理解していない友典は、まっすぐに、顔を上げた。
言うことを聞いているだけでは、何も得られない。
自分で考え、動かなくては。
大した時間を費やすことなく、目の前には。
面白そうに口角を上げた、鷹野一樹と似た顔をした男が。
凱司にあてがわれた店へと、芝居がかった仕草で自分を招き入れようとする姿が、あった。

